今回は、(3)がんとこころの基礎知識 の前半部分の講演内容を掲載します。
ストレスは悪い面ばかりではありません。ストレスの研究者ハンス・セリエ博士によると、ストレスは「人生のスパイス」です。つまり、ストレスという適度なスパイスがあるからこそ、私たちは人生をより料理でき、自分を向上させながら生きていけるのです。たとえば、「疲れ」というストレスを感じなければ、働きすぎて体を壊してしまいます。また、「悔しさ」を感じなければ努力することもできません。「不安」を感じなければ、どんどん危険な道にすすんでいくかもしれません。
(3-2-2-1)適応障害
がん治療を受けながらの生活は、これまでの生活と一変した環境になります。このように新しい環境に慣れることができず、頭痛、動悸、体のだるさ、不眠などの体の症状や、落ち込み、不安、集中力の低下、意欲の低下などの心の症状のために、日常生活に支障をきたした状態を適応障害と言います。うつ病と似た症状ですが、原因(ストレッサー)がはっきりしていたり、原因から離れると普通に過ごすことが出来る点が大きく異なります。
(3-2-2-2)うつ
(3-2-3)ストレスと上手な付き合い方
ストレスをコントロールする上では、「ストレスをなくす」のではなく、「ストレスと上手く付き合う」ことが大切な のです。
(3-2-3-1)自分で取り組む心のケアとしては、次のようなものがあります。
→漸進的筋弛緩法や呼吸法を講演では紹介されました。
(3-2-3-2)専門家と取り組む心のケア
患者さんやご家族と一緒に心のケアを行う専門家がいます.
医師(精神科医/精神腫瘍医/心療内科医)や専門看護師、臨床心理士が患者さんやご家族からお話を伺い、お困り事に応じて対応を考えていきます。カウンセリングが基本になりますが、主には医師が薬を使った治療を行い、臨床心理士がお薬を使わない治療(心理療法/リラクセーション)を担当します。認定看護師・専門看護師は患者さんが生活しやすいようにケアや生活の工夫の相談を受けています。
(3-2-4)薬物療法
抗うつ薬
•効 果 「気分の落ち込み」、「興味関心の喪失」、「気力の低下」、「体がだるい」、「食欲がない」、「一日中イライラして落ち着かない」「一日中不安で仕方がない」などの症状を改善する目的で使用します。
•副作用 飲み始めに「軽い眠気」「吐き気」「便秘」「喉の渇き」が比較的よく見られますが、徐々におさまります。程度が軽ければ、飲み続けてください。
• 抗うつ薬の効果が出るまでに2〜3週間かかりますので、副作用が出たからと言って飲むのをやめてしまうと、せっかくの薬の効果が得られなくなってしまいます。
抗不安薬
•効 果 「不安でそわそわして落ち着かない」「考えたくない事が頭から離れない」「胸がドキドキする」「息が苦しい」などの症状を和らげる目的で使用します。
•副作用 「眠気」「ふらつき」「足腰に力が入りにくい」「物忘れ」が比較的よく見られます。
•ほとんどの場合、お薬の種類や量を調整することで改善できます。